ムカデミノウミウシの持つ共生藻の由来
福田朋子○・平野弥生・平野義明(千葉大学海洋バイオシステム研究センター)
ムカデミノウミウシPteraeolidia ianthina (Angus, 1864) は、共生藻をもつ種として広く知られている。一般に、共生藻をもつミノウミウシ類は餌刺胞動物からそれを取り込むと考えられている。本種はいろいろなヒドロ虫を食べるが、地理的分布域の中には共生藻をもつヒドロ虫がまったく報告されていないところもあり、共生藻の由来は謎につつまれていた。
これまでに房総小湊で調べた成体では、すべての個体が例外なく共生藻をもっていたが、卵にも孵化直後の幼生にも共生藻は見られないので、取り込みは幼生から幼体期に至る間に起こると考えられる。そこで、幼生の定着変態基質ならびに幼体の餌を調べ、共生藻取り込みの方法を解明することを目的に研究を行った。その結果、小湊ではEudendriumの1種で定着変態が誘導されることがわかった。このヒドロ虫は共生藻をもっていないが、それを餌として与え続けられた幼体は数日後には共生藻をもつようになった。このことから、本種は餌以外から共生藻を取り込むことが強く示唆された。
Fukuta,
T., Hirano, Y.M., Hirano, Y.J.: Origin of symbiotic zooxanthellae
in the aeolid nudibranch Pteraeolidia ianthiana.