樹上性巻貝の左右二型現象と集団動態 浅見崇比呂°(信州大学/PRESTO),Somsak Panha, Chirasak Sutcharit (Chulalongkorn University)

  動物界では一般に鏡像体は進化していない.対照的に巻貝では,発生の体軸が左右反転した鏡像系統がくり返し進化した.にもかかわらず,巻貝の集団で左型と右型が共存する例はまれである.そのなかで,東南アジアのAmphidromusは,左右二型が多くの種でみつかることでよく知られている.しかし,左右二型が積極的に同一集団で維持されているのか,それとも分布の重なる左巻集団と右巻集団が別々に存続しているのか ― 左右二型の実態はほとんどわかっていない.この問題に答えるために,2001年9月からA. atricallosusの左右二型の集団動態をタイ2地点で追跡している.集団パラメータの実測値をもとに,現在までにあきらかとなった左右二型の時空動態を報告する.

Takahiro Asami, Somsak Panha and Chirasak Sutcharit: Chiral dimorphism and population dynamics of the tree snail Amphidromus atricallosus in Thailand.