八重山諸島近海で漁獲された魚類の消化管内より得られた軟体動物
小菅 丈治゜・木曾 克裕・清水 弘文(水産総合研究センター・西海区 水産研究所石垣支所)・窪寺 恒己(国立科学博物館・動物研究部)

 沖縄県八重山諸島近海で漁獲された魚類の消化管内容物として軟体動物がしばしば出現する。このうち分布記録上また魚類の食性の直接証拠として興味深い4つの事例を紹介する。
1. ハマフエフキの腸管内より得られたマクラガイ科ホタルガイ属の一種は、ムシボタルに類似するが、琉球列島からは従来知られていなかった種類と考えられる。
2. ハマダイの胃中より得られたヒカリダンゴイカ属の一種は未記載種の可能性がある。ハマダイの腸管からはこのイカのものと思われる頭足類の口器が多数高頻度に出現することから重要な餌生物であると考えられる。従来ハマダイの食性についてはほとんど不明であったので貴重な発見である。
3. ヒメダイの腸管内からは翼足類のマサコカメガイが多数個体、高頻度に出現する。ヒメダイは水深200m前後に生息するとされ、マサコカメガイの垂直分布との関係に興味が持たれる。
4. シイラ、ミズウオ、アカマンボウの胃中よりチジミタコブネが出現した。チジミタコブネの殻は脆弱で漂着の記録は少ないようだが、琉球列島南部海域では稀な種類ではなく表層性魚類に捕食されていることが明らかになった。

Takeharu KOSUGE, Katsuhiro KISO, Hirohumi SHIMIZU, Tsunemi KUBODERA: Notes on the molluscs found as gut contents of fishes captured near the Yaeyama Islands, southern Japan.