千葉県外房沿岸におけるアワビ種苗の大量放流の効果
清水利厚o・内野加奈子・田中種雄・柴田輝和・金子信一・池上直也(千葉県水産研究センター)

 千葉県のアワビ資源は近年減少が著しい。調査によると2000年の生息密度は数個体/100m2であり、天然資源の再生産にも影響する状況と推測される。そこで大量の種苗放流による効果と過去の資源量への回復の可能性を調べた。
1998年5月に千倉町地先にクロアワビHaliotis discusの種苗(平均殻長3.0cm)40万個体を放流し、潜水調査により放流後の成長と資源状況を調べた。3年後(2001年)に平均殻長10.2cm、4年後(2002年)に平均殻長12.8cmとなり、千葉県海綿漁業調整規則による制限殻長(12cm)を超え、漁獲が始まった。CPUEはそれまでの3kg/日から9kg/日に急増した。

Tosiatu Simizu, Kanako Uchino, Taneo Tanaka, Terukazu Shibara, Shinichi Kaneko & Naoya Ikegami: The effect of the large discharge of abalone seed and seeding in the Pacific coast of Boso Peninsula, Chiba Prefecture.