種間対称に交尾する雌雄同体の種間非対称な生殖的隔離
水野奈津子・藤井信之・浅見崇比呂°(信州大学)・関 啓一(東邦大学)

 コハクオナジマイマイ(コハク)とオナジマイマイ(オナジ)は、同種個体と選択的に交尾する頻度が互いに異ならず、種間でも互いに陰茎を挿入して同時に正逆交尾する。その意味で、本2種は種間で対称に交尾する。ところが、種間で交尾すると、コハクが産卵し、オナジは産卵しない。雑種第1代と雑種第2代では、雑種強勢が生じ、妊性も正常である。ゆえに、コハクとオナジの生殖的隔離は、種間交尾したオナジの産卵に対してのみ生じている。オナジは交尾継続時間がコハクより短いため、精包をコハクに渡して交尾を先に終える。だがコハクは、それまでにオナジに精包を渡すことができない。この交尾後接合前のメカニズムにより、種間で非対称な雑種形成が生じると考えられる。

Natsuko Mizuno, Nobuyuki Fujii, Takahiro Asami and Keiichi Seki: Asymmetric isolation in symmetric matin6g between simultaneous hermaphrodites.